企画広報という仕事の本質

企画広報は、孤独な仕事だと思う。

経理には数字がある。 工事には完成がある。 入札には結果がある。

では、企画広報には何があるのか。

毎日発信しても、数字が伸びないことがある。

時間をかけて記事を書いても、ほとんど読まれないこともある。

自分では面白いと思った企画が、誰にも響かないことだってある。

それでも、次を考える。

誰かが毎朝、「今日はこれをしてください」

と仕事を用意してくれるわけではない。

むしろ、何もないところから仕事をつくる。

私は、企画と広報をあまり別のものだとは考えていない。

何を伝えるかを考えるのが企画で、どう伝えるかを考えるのが広報。

見つけて、聞いて、撮って、考えて、言葉にする。 そして発信する。

そこまでが一つの仕事だと思っている。

では、どんな人が企画広報に向いているのか。

私は、いくつかの特性があると思っている。

1. 当たり前のことを、面白がれる

いつもの事務所。

いつもの通勤ルート。

現場に無造作に置かれた材料。

色んな工具。

誰かの何気ない一言。

自分たちにとっては当たり前でも、外から見ればそうとは限らない。

「これ、よく考えたら面白いな」と立ち止まれる。

特別な出来事を待つのではなく、何でもない日常の中から面白さを見つける。

企画は、案外そんなところから始まる。

2. ささいなことに、感動できる

誰かのちょっとした気遣い。

誰にも見られていないところで、丁寧に仕事をする人。

何でもない一日に起きた、小さな出来事。

そこに心が動く。

大げさな感動でなくていい。

「なんか、いいなぁ」その程度でもいい。

何も感じなければ、何も見つからない。

何も見つからなければ、何も伝えられない。

広報には、知識や技術だけではなく、感受性も必要なのだと思う。

3. 物事を、多方面から見られる

つくる人から見える景色と、使う人から見える景色は違う。

外から見るのか。

過去から見るのか。

未来から見るのか。

立つ場所を変えれば、同じものでも違って見える。

角度を変えた瞬間に、それまで見えなかったものが見えてくることがある。

そこに、企画の種がある。

4. 構造で考えられる

一つの出来事だけを見るのではない。

なぜ起きたのか。

何とつながっているのか。

この先、どこへつながるのか。

点だけを見るのではなく、点と点の関係を見る。

一つの投稿、記事、写真、動画。

それぞれを単独で終わらせず、その先を考える。

この発信は誰に届くのか。

その人は次に何を見るのか。

会社に何が残るのか。

構造が見えれば、単発だったものが線になっていく。

5. 頭の中で、遊べる

「もし、こうしたらどうなるだろう」

「これとこれを組み合わせたら面白くないかな」

「全く違う業界なら、どう見せるだろう」

そんなことを、頭の中でシェイクして自由に転がしてみる。

現実性や効率を考えるのは、その後でもいい。

最初から、無理だろう、意味がない、前例がないと答えを出してしまえば、新しいものは生まれにくい。

一見関係のないものをつなげて、あたりまえを、一度壊してみる。

頭の中に、遊び場を持っている。

創造とは、案外そんなところから始まるのだと思う。

6. 感じたことを、言葉にできる

すごい、楽しかった、頑張ってるで終わらせない。

何がすごかったのか。

なぜ楽しかったのか。

どこに心が動いたのか。

難しい言葉を使う必要はない。

ただ、言葉の引き出しは多い方がいい。

同じ出来事でも、言葉一つで見え方は180度変わる。

自分の中に生まれた感覚をそのままにせず、自分の言葉に変える。

広報にとって、言葉は大切な道具である。

7. 自分から動ける

現場へ行く、人に聞く、外へ出る。

そして、違う業界を見る。

さらに、知らない場所へ行ってみる。

数字が伸びなければ、なぜだろうと考える。

そして、次はこれをやってみたいと自分から動く。

頭の中でどれだけ面白いことを考えても、動かなければ何も始まらない。

企画広報は、仕事を与えられるのを待つ仕事ではない。

自分で仕事を見つけ、自分で仕事をつくる。そういう仕事でもあると思う。

8. 反応がなくても、続けられる

広報は、いつも認められて、褒められる仕事ではない。

投稿しても反応がない。

時間をかけた記事より、何気なく撮った一枚の写真の方が見られることもある。

考え抜いた企画が、誰にも響かないこともある。

だから、自分が認められることを目的にしてしまうと、この仕事は苦しくなる。

広報の主役は、自分ではない。

まだ知られていない何かを見つけ誰かに届ける。

そのために発信する。

反応がなくてもまた探し、また考える。

作って壊し、壊したものを集めて作る。

そして、やって、やってやりまくる。

ここまで考えてみると、企画広報という仕事は、少しアーティストに似ているのかもしれない。

何でもないものの中から、何かを見つける。そして、誰も気にも留めなかったものに意味を見つけ、自分の感性で切り取り、言葉や写真や動画に変えて外へ出す。

さらに、評価されなくても、また次をつくる。

企画広報には、そんな余白も必要なのだと思う。

その余白は暇なのではない。

考える時間。

探す時間。

外を見る時間。

そして、

何もないところに、点をつくる時間である。

面白いと思ったこと、心が動いたこと。

人や物との出会い。

違う角度から見つけたもの。

その一つひとつが、小さな点になる。

今日つくった点が、いつ、何に、どうつながるかは分からない。

それでも、また点をつくる。

やがて、思いもしなかった点と点がつながっていく。

こういう現象が増えてくる。

何もないところに点をつくり、日々、
点をつくり続け、線でつないでゆく。

zero to one.one to ten.

私は、それが企画広報という仕事の醍醐味だと思う。

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