腕のいい電工ほど、腰にぶら下げる道具は少ない。

現場に立つと、すぐに分かることがある。
この人はできるのか、そうでないのか。
それは、言葉ではなく、
腰にぶら下げている道具を見れば分かる。
道具が多い=優秀ではない
一見すると、道具が多い方が安心感がある。
何でも対応できそうに見える。
だが、実際は逆だ。
腕のいい電工ほど、
腰にぶら下げている道具は少ない。
必要なものだけ。
本当に使うものだけ。
それ以外は、持たない。


理由はシンプルだ。
無駄な道具は、無駄な動きを生む。
腰が重くなる。
動きが鈍くなる。
判断も遅くなる。
現場とは、速さと正確さの積み重ねだ。
だからこそ、削る。
持たない勇気を持つ。
道具の数は、思考の量
腰道具は、その人の思考をそのまま表す。
多すぎる道具は、
「準備が不安な証拠」でもある。
少ない道具は、
「段取りが頭に入っている証拠」だ。
何を使い、
どの順番で作業するのか。
すべて見えているから、
余計なものを持たない。


さらに言えば、
配置にも意味がある。
取りやすさ。
利き手。
作業の流れ。
すべてが計算されている。
それはもはや、道具ではない。
身体の一部だ。
美しさは、削ぎ落とした先にある
腰道具は多ければいいわけではない。
高価であればいいわけでもない。
本当に必要なものだけを残し、
無駄を削ぎ落とした先に、
美しさが生まれる。
それは、仕事そのものと同じだ。



腕のいい職人は、語らない。
だが、腰を見れば分かる。
何を削り、何を残したか。
どれだけ現場を理解しているか。
すべてが、そこに出ている。
最後に
腰道具は、その人の仕事の縮図である。
そして、削ぎ落とされた道具こそが、本物の電工の証だ。
